結局、東京の感染者は何人だったのだろう?
この3カ月、東京に新型コロナウイルスがどれぐらい広がっているかを考えていました。
2月下旬くらいから、どの程度なのかな?と、いろんな数字をにらみながら推計していたんですね。
一番シンプルな推測は、検査で出た陽性者の10倍という数字です。
東京では検査を絞っていて、発熱だけではなかなかPCR検査を受けられない。
専門家会議の人たちは、インタビュー記事などで、重症者2割を検査で発見して入院させる、軽症者は自宅で療養していれば治ると公言していました。
そのための発熱4日のルールなのだと伝わってきました。
それならば、検査でつかみたいのは、発症者の2割。
さらに、発症していない無症状者が発症者と同じくらいいる・・・と考えると、だいたい10倍にくらいかな?と。
4月に入って、陽性者数はぐんぐん上がって、指数関数的な上昇のベースに乗ってしまうのではないかという切迫感が出てきました。
入院患者に感染者が混じるようになり、医師会はようやく本気になりはじめました(もしかしたら、検査数を増やすことができない政府に業を煮やしたのかもしれませんが)。
大学病院などでも、入院前のPCR検査がはじまり、ようやく民間の検査数が増えはじめ、やがて陽性者はピークをすぎて、減少しはじめました。
結局、東京では累積5133人、死亡256人(5月21日現在)。
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
かなりの数の人が検査からこぼれてしまったのではないかと言われています。
その指標の一つが抗体検査。
東大の検査で判明した抗体検査の陽性率は、0・6%でした。
単純計算で、8万4000人が感染していた可能性があるのです。
ところが、これでは致命率が0・3%。
驚くような低さになってしまいます。
致命率は0・7〜3%くらいにはなるのではないかと思われます。
そんなときに、ツイッターで、4月の超過死亡を掲載していた人がいました(表)
4月分の死亡者数を発表した全国の自治体だけで計算して、超過死亡を計算したのだそうです。
その超過死亡の比率を、全国に当てはめて推計すると、8000人ほどの超過死亡があった可能性もあるというのです。
だとすると、単純に10分の1と考えても、東京の超過死亡は800人ほどいたと考えられます。
この超過死亡は、単純に全員がコロナとは言えないとは思います。
ですが、自宅でゆっくりしていた結果なのか、自殺数はかなり減っていますし、交通事故死は前年比+2人です。
来年と比べて800人も死者が増える原因として、コロナ関連以外に何か考えられるでしょうか?
コロナ肺炎による死亡だけでなく、
発熱しても受診できなかった受診拒否、
本人が病院にかかるのをためらった結果、手遅れになった受診抑制、
医療崩壊のために、適切な手術や治療が受けられなかったケースもあるかもしれません。
さらに、コロナ以外と診断された肺炎や、血栓のための脳梗塞、心筋梗塞など、コロナが原因だったのに、ほかの病名のまま亡くなった人もたくさんいたのではないでしょうか。
東京はコロナの感染者数が全国でも多い方ですので、もしかすると超過死亡は800人ではすまないかもしれません。
そのうちどれぐらいの比率が、コロナウイルス に感染した結果の死亡なのかもいまや確認しようがありません。
ただ、800人と考えると、8万4000人の感染者のおおよそ1%の致命率となり、医療の進んだ日本としては、かなり妥当な数字に思えてくるのです。
超過死亡の話題は、まだあまり知られていません。
ですが、しばらくすると、都内の自治体の死亡者数が出そろいますし、専門家が計算すれば、たちまちリアルな超過死亡者数が判明すると思います。
それが出てくると、国民的には、注目を集めうるのではないかと思います。
その頃に、正確にわかってくるのではないかと思うのです。
抗体検査の陽性率0・6%で、8万4000人の感染者がいた可能性が指摘されましたが、逆にいうと、発見されなかった感染者は7万9000人いたかもしれないのです。
死亡者も、コロナとしては250人程度ですが、550人がコロナとの関連がわからないまま亡くなってしまったかもしれないのです。
事実がわかってくるのは、全国の死亡者数がはっきりとわかるこれからです。